父性から見た子育てガイド【中高生にも役立ちます】 | クマノテ

父性から見た子育てガイド【中高生にも役立ちます】

1. 記事の背景

国力の衰えは他人ごとではありません。まわりまわって家庭や個人に影響します。ところで国力の源は資源や蓄えではありません。一にも人、二にも人です。国民が劣化すれば国も必ず劣化するのです。

 

戦後の復興は米国の援助や朝鮮戦争などの要因もありましたが、戦中派の人びとの力によるものです。他方、戦後生まれの人たちはどうでしようか。戦後の教育は権利を主張することは教えましたが、権利には相応の責任が伴うことはあまり教えませんでした。義務を表に出す教育は軍国主義の再来を招くと米国が懸念したのかもしれません(日本人は縄文的な平和の民だったのですが、GHQは真の日本人を理解できなかったようです)。

そのほか、権利や自由を与えることで、そうでなかった戦前の仕組みを劣ったものと思わせたかったかもしれません。その所為(せい)だけではないでしょうが、わがままで自分勝手な人が増えたとは思いませんか。

 

確たる国家目標がないためか、豊かさを手にしても手段であるべきお金を目的にする風潮がはびこっています。お金を前にすると信念を簡単に変える偽エリートも少なくありません。真のエリートとは身分や階級ではなく、凡人では不可能な難事を率先して引き受ける人を言うそうです(ノブレス・オブリージュともいいます)。わが国の場合はさらに深刻です。真のリーダーを欠き、能力的にふさわしくない人が権力の座についています。

 

人は全くの自由ということはあり得ず、憲法の定める権利と義務の下で活動し、結果として国家社会に貢献するのではないでしょうか。本稿ではそのような人に育つため幼い時期のわが子をどう育むべきかを父性の視点で考えます。

 

2. 社会活動の機能層

人は人生において何をなすべきでしょう。憲法では職業選択の自由が謳われています。どのような職につくかは自由です。しかしどの職業にもそれ相応の能力が必要です。他者より輝くにはそれを上回る能力が必要です。図1は(大きな)組織がその顧客のためになすべき職務を分類したものです。

 

Aは組織の長を示します。この人ならついていこうと思わせる力が必要です。

 

Bは関係する事柄の全体を俯瞰し、企画・立案・実施法を考える部門です。広い視野から物事を把握し、問題を抽出し、解決法や対策法を考える能力が必要です。

 

Cは特定の専門分野の事物を研究し、開発し、設計し、具体化する部門です。技術分野に限りません。軍事、外交、法律、経済、科学、教育、医療など様々な分野があります。

 

Dは特定の専門分野の事物を製作し、構築し、施工し、運用する部門です。

 

Eは当該事業の受益者が属する部門です。政府の政策の対象である国民であり、製造業における顧客や消費者であり、税務政策における納税者などの総称です。

 

Fは、演劇、絵画、作曲、演奏、小説などの文芸やスポーツ選手などを表し、主として個人の能力や個性で活動する人々の総称です。魅力がなければ誰からも声がかかりません。

 

A、B、C、Dは役割分担であり、どれが偉くてどれが偉くないという区別はありません。機能が違うため必要な能力は異なります。当然難易も異なり、教育内容や訓練期間も異なります。

 

Bの主要な役割は組織の方向を決定することですが、複雑な社会では多くの要素を考慮しなければならず、人材の育成が極めて困難な分野です。わが国はこの分野の人材の特に不足しています。医学と工学、哲学と法学など二つ以上の専門分野を学ぶことや、海外の大学での学びが役立つ場合もあるでしょうが、決定的な養成方法はありません。

組織における役割分担

3. 子供のしつけと教育

3.1  人生コースのいろいろ

図2は誕生から社会人として働くまでの進路をまとめたものです。義務教育を修了してすぐに社会人となる進路から、大学院の前期課程または後期課程を修了して社会人になる進路まで様々です。なお、大学院後期課程は研究者養成コースです。このコースの期間中も知識の創造能力が求められます。知識を創造する能力に乏しい人は成功しないでしょう。

 

(1) 中学卒業から社会へ

技能で身を立てるコースです。卓越した技能が必要な仕事は沢山あります。技能の習得・向上のほか、中学の数学・理科・英語などの知識は職業人として必要です。確実に理解するべきです。また、社会人になったら堅実に身を処し、技能の修練にまい進すべきです。可能なら通信教育などで高校課程を学ぶことを勧めます。

 

(2) 高校卒業から社会へ

高校課程の学習内容を理解していれば、社会人として様々な可能性があります。図1のD部門で活躍の場があるでしょう。基本的に必要なことは高校卒業までの知識です。単なる丸暗記では成長できないでしょう。さらに成長するには学び続けねばなりません。

 

(3) 大学卒業から社会へ

図1のCやDでの活躍の場が待っています。ただし大学の教育内容を消化している人に限ります。中学生時代から知識の修練をすべきです。真の学びをすれば必ず役立つ場があります。

 

(4) 大学院前期課程卒業から社会へ

図1のBやCでの活躍の舞台が待っています。ただし、大学と大学院の課程の教育内容を消化している人に限ります。

 

(5) 大学院後期課程卒業から社会へ

博士号の取得にまい進すべきです。専門バカにならないためには、余裕をつくり、語学、歴史、音楽、計算機プログラミングなどを学ぶとよいでしょう。

 

(6) 海外留学や数専攻

経済的に可能なら、海外の大学への留学や、複数の学部・学科で学ぶコースもあります。視野が広くなります。

 

3.2  教育の問題

(1) 真の勉強

今の日本が抱える深刻な問題は教育の質の低下です。日本の大学生が勉強しないことは周知の事実です。教育に投資した時間や資金にふさわしい能力が獲得できていません。輝く生き方をするには暗記や覚えた知識では役立ちません。理解して応用する力が必要です。

 

(2) 受験目的の勉強

外交官試験や司法試験、税理士や公認会計士や国家公務員などに合格するための受験勉強があります。ご存知のようにこれらの試験に合格するのは大変です。しかし受験のための勉強であることは避けられません。それだけで図1のBやCの部門で働くのは無理です。知識を応用する力、問題を解決する力、根源を哲学する力が必要です。

 

(3) 学校で学ぶ対象

学校で学ぶ対象には次の3種があります。

(a) 知識に関する教育

知識は理解しなくてはどうにもなりません。理解することは大変な努力が必要ですが仕方ありません。理解した知識は応用により価値が発揮されます。しかし、応用するにも知識が必要なのです。理解すれば応用できるわけではないのです。多くの学生・生徒は知識の応用ができていません。

(b) 技能に関する教育

スポーツの技能だけではありません。計算のほかパソコンやスマートフォンの使い方、ワープロやウエブの扱い方、プレゼンテーションの仕方、楽器の演奏や絵の描き方、工具の使い方、珠算や電卓の使い方などもあります。技能はひたすら練習して腕を磨くしかありません。

(c ) 方法教育

大多数の若者はこの教育の大切さを評価しませんが、社会人の多くは認識しています。技能の教育にも方法が含まれますが、ここでいう方法とはもっと根源的な方法です。最も大切な方法は“学びの方法”です。この方法を体得している人は必要に応じて学ぶことができます。専門外の事項でも新しい事項でも体得した学びの方法を用いて学べるのです。

 

4. 子どもの育て方

高校時代に真に学びをした者は大学になって突然勉強しなくなることはないでしょう。高校時代に真の学びをしなかった者は中学時代も真の学びをしてない可能性が高いと思います。このように逆に辿っていくと真の学びを身に着けるのは子ども時代のようです。この観点から、以下では子どもの親にして欲しいことをまとめました。

(1) 子は預かりもの

生まれ出る子は両親のDNAを受け継いだ血肉を分けた存在です。肉体的な特徴は一生持ち続けます。私自身も父の笑い方とそっくりです。生まれでる前から両親や祖父母は新たな命を迎える準備に懸命です。でも両親の所有物ではなく、預かりびとなのです。人生の過程で自分の花を咲かせつつ、人のために役立つ使命をもって生まれて来るのです。

(2) 知識を尊ぶ環境づくり

動物とは異なり人が生きるには知識が必要です。コミュニケーションも知識を前提にしています。知識に応じたコミュニケーションしかできないのです。社会のさまざまな機構(メカニズム)の理解も必要です。これらの知識は体の発育に応じて得られるものではありません。意図して学ぶ必要があります。しかし学校で学ぶのが知識のすべてではありません。家庭では両親や祖父母が先生です。そして学びを生活の一部にするには相応の環境が必要です。そして両親が学ぶ姿勢をもつことも大切です。

(3) 手抜き無用

子育てに手を抜かないことは当然です。真の親なら必死に子育てをするでしょう。しかし子育ての環境は様々です。時間的、経済的、精神的に、どの程度ゆとりがあるでしょう。残念ながら家庭により異なります。祖父母の応援が期待できない人もいます。それは仕方のないことですから受け入れましょう。どのような環境にあろうとも両親が手抜きしないことが大切です。

(4) 大切にされた記憶

物を与えられたことで大切にされたと思う子もいるでしょうが、精神的に大切にされた記憶は人の心を生涯安定にします。精神面で大切にされた、大切にされている、と子どもが思うように接してください。お金のない親にもできます。

(5) 先祖の尊崇

先祖を敬う家庭に育てば自然に人の大切さを体得します。同時に自分の大切さも自覚するでしょう。先祖や両親を敬う姿を自然なかたちで子供に見せてください。

(6) 我慢・忍耐

人の一生の多くの局面で忍耐が必要です。肉体的にも精神的にも、きついことに耐える方法を身につけさせてください。日常のいろんな局面で我慢することを体験させてください。我慢している最中は必要に応じて激励し、我慢した後には誉めてください。

(7) 怖いものの存在

人には怖いものが必要です。子どもも同じです。怖いものの存在が暴走を止める役目をします。物語などを通し、父親(的)存在を通し、畏怖すべきものの存在を教えてください。その前提として、親が畏怖する存在を持たねばなりません。例えば、怠惰や悪に誘う存在、進歩を阻もうとする存在、万事を見通す存在などもあります。

(8) 精神的ゆとり

精神的にゆとりのある雰囲気で育てられることが大切です。罵りや罵倒、怒りのある家庭では、人の心は健全に育ちません。

(9) コミュニケーション

コミュニケーションを抜きにして社会生活は成り立ちません。よいコミュニケーションをするには、相応の知識と知恵の活用が必要です。さらには、人間性や生きざまも問われます。小さい時から子どもと話し合う習慣を作ってください。子どもは家庭の中をそれなりに見ています。親が心を開けば子どもも心を開きコミュニケーションができます。

 

5. まとめ

父性からみた子育ての家庭環境についてまとめました。図3はそれを要約した図です。

望ましい子育ての環境

誕生から小学生終了の頃までは、知る喜びやできる喜びをいっぱい体験させてください。描いたり、書いたり、作ったり、演奏したり、歌ったり、機械を分解したり、本を読んだり、物の原理を理解したりすることが大切です。受け身の活動ではなく、体や頭を積極的に動かす活動をさせてください。子どもは両親を信じて生まれてきたのです。


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